手挽きのコーヒーミルは、とってもたくさんの種類があります。
どれを選べばいいのか、本当に迷いますよね。
でも実は、コーヒードリラーの視点からみると、大きく2つに分類できるのです。
この記事ではその分類について紹介します。
粒度調整の仕方が違う?「上ネジ型」と「下ネジ型」コーヒーミル
コーヒーミルには、挽き終わったコーヒーの「粒度」を調整する仕組みがあります。
調整ネジを締めたり緩めたりして、コーヒーミルの外歯と内歯の距離を変化させます。
この距離を変化させることで、挽き終わったコーヒーの粒度を調整するのです。
この調整ネジのついている位置によって、コーヒードリリングの方法も変わってくるんです。
「上ネジ型」コーヒーミル
HARIO ( ハリオ ) セラミックコーヒーミル・スケルトン MSCS-2TB
クラシックなコーヒーミルは殆どコレ。
コーヒーミルと聞いてまず想像するのが、この構造です。
コーヒーミルの上側には、ネジを切ってあるシャフトがあります。
こちらに粒度を調整する為のナットがあり、好みの距離まで締め込みます。
ナットの切れ込みに合わせて留め金具を入れ、緩まないように固定します。
調整ナット
留め金具
一般的な視点からの「上ネジ型」の長所・短所
長所
・緩みが発生しない
留め金具があるので、一度決めた位置からは、まず緩みません。
短所
・粒度の調整に手間がかかること。
留め金具・ハンドル・ハンドル固定ナットを全て外さないと、粒度の調整ナットが回せません。また、調整ナットを何度回したかがわかりにくく、正確な調整には相当な慣れが必要です。
コーヒードリラーから見た「上ネジ型」の長所・短所
長所
・一般的な「六角ナット」と「ソケットビット」を買えば、コーヒードリリングができる
ネジが切ってあるシャフトの下まで六角ナットを回し込み、それをソケットビットで回す事で、ドリルドライバーの力をコーヒーミルに伝えることができます。
六角ナット(袋ナット)
※ただし、六角ナット・ソケットビットの選び方には注意点があります。次回の記事をご参照ください。
短所
・六角ナットに負荷がかかるため、ナットを外すのに毎回工具が必要
コーヒードリリングをする度に、ドリルドライバーの強い力が六角ナットにかかります。そのため、六角ナットがシャフトに噛み込んでしまい、とても手では外せません。
基本的には、六角ナットを回す「レンチ」を傍らにおいて、コーヒードリリングすることになります。
モンキーレンチ
ただし、六角ナット無しでコーヒードリリングできる、専用のコーヒーミルアダプターも存在します。
こちらを使えば、ナットの噛み込みという問題は無しで、上ネジ型を使うこともできます。
※次回の記事をご参照ください。
「下ネジ型」コーヒーミル
ハリオ社 コーヒーミル・セラミックスリムMSS-1TB
ハリオ社のコーヒーミル・セラミックスリムMSS-1TB、E-PRANCE社のステンレスコーヒーミル、ポーレックス社のコーヒーミルなど、現代的なコーヒーミルがこちらにあたります。
上ネジ型と違い、ホッパーより下側にネジを切ったシャフトがあり、そこに粒度を調整するナットがあります。
ホッパーの下にある粒度の調整ナット(写真は逆さにした様子)
粉受けを取り外してナットを回すことで、粒度が調整できます。
このタイプのコーヒーミルは、留め金具がありません。
その代わりに、調整ナットの裏側に凸型の出っ張りが何個もついています。
この出っ張りが、調整ナットの接しているパーツの凸部に引っかかる事で、ナットが緩まないという仕組みになっています。
調整ナット裏側の凸型の出っ張り
一方、ハンドル側のシャフトは、五角形や平型といった様々な断面形状になっています。
シャフトには固定のためのナットなどは無く、ハンドルやホッパーの蓋が簡単に取り外しできるようになっています。
五角形のシャフト(ハリオ社 コーヒーミル・セラミックスリムMSS-1TB)
平型のシャフト(ポーレックス社 コーヒーミル(新型))
一般的な視点からの「下ネジ型」の長所・短所
長所
・粒度調整が簡単
・調整位置が音でわかる
・ハンドルの取り外しが簡単
・ホッパーの蓋が取り外しやすい
留め金具やハンドルを取り外さないでも、調整ナットを回す事が出来ます。
調整ナットを回すと、カチカチといった音がするため、音の回数で調整位置が明確に分かります。
ホッパー内部を掃除したいときや、持ち運びたいときなど、簡単にハンドルが外せます。
ハンドルが簡単に外せるので、ホッパーの蓋も簡単に外せます。
逆に、上ネジ型は基本的にハンドルを外さないとホッパーの蓋が外せない構造のため、蓋がそもそもないものが多かったり、蓋がシリコーン製で変形できるタイプだったりします。
短所
・挽いている時にハンドルが外れやすい
・調整ナットが緩みやすい(?)
最大の短所は、挽いている時にハンドルが外れやすいことです。
シャフトにハンドルを留めるナット等がないため、すっぽ抜けることが多々あります。
ただし、ポーレックス社の新型コーヒーミルのように、シャフトに捻りを加える事で、この問題を完全に克服したものもあります。
また、ハリオ社のセラミックコーヒーミル・ウッドMCW-2-OVのように、上のシャフトもあえてネジを切り、固定ナットをつけて対策しているものもあります。
(こちらはそれにより、上ネジ型の欠点が不可されていますが…)
ちなみにコーヒードリラーはハンドルのお世話になることは滅多にありません。
よって、ハンドルが外れやすいといった欠点は、心配ご無用です。
また、調整ナットの緩み易さですが、やはり樹脂製の凸部ですので、長年使っていると緩みやすくなる可能性があると思います。
ただ、私個人的にはコーヒードリリングで緩みやすくなってしまったコーヒーミルは今のところありません。
コーヒードリラーから見た「下ネジ型」の長所・短所
長所
・シャフトが2点以上で支えられているため、高速回転させても回転軸がぶれない
・スリムなタイプが多いので片手で持ちやすく、ドリルドライバーで回し易い
・軽量で頑丈なものが多いため、アウトドアでのコーヒードリリングに向いている
・五角形シャフトのコーヒーミルなら、リーズナブルな専用のコーヒーミルアダプターが販売されている
上ネジ型のコーヒーミルは、シャフト内歯に直結していて、本体のある1点と内歯だけで回転を支えている場合が多いです。そのため、粒度調整を粗めにすると、シャフトの支えが不安定になり、回転軸がぶれ易くなります。
そのため、コーヒードリリングで高速回転させると、軸がぶれてコーヒーミルが振動してしまうことがあります。
一方、下ネジ型のコーヒーミルは、本体にある筒状のパーツにシャフトが収容されていて、軸がぶれない構造になっています。
シャフト固定の様子
そのため、コーヒードリリング中に軸がぶれる事はまずありません。
振動もしないため、安心してコーヒーを挽くことができます。
ハリオ社やポーレックス社のコーヒーミルのように、スリムなものが多いため、片手で持ち易く、女性でも簡単にコーヒードリリングに挑戦できます。
片手持ちでのコーヒードリリングの様子
軽くて省スペースのものも多く、アウトドアでのコーヒードリリングにも最適です。
アウトドアでのコーヒードリリング
また、下ネジ型の五角形シャフトのタイプは、コーヒードリリング専用のコーヒーミルアダプターが販売されています。
短所
・専用のコーヒーミルアダプターが無いシャフト形状のコーヒーミルも存在する
・スリムなものが多く、ホッパーの収容量が少ない
下ネジ型のコーヒーミルのシャフトは、五角形・平型・六角形と、様々な形状があります。
中にはコーヒーミルアダプターが無い形状のものもありますので、対応するコーヒーミルアダプターがあるかどうか確認の上、コーヒーミルを購入されることをお勧めします。
まとめ
コーヒーミルの「上ネジ型」「下ネジ型」の違いはご理解いただけたでしょうか。
当サイトのおすすめとしては、下のようになります。
・コーヒードリリング初心者〜中級者の方
五角形シャフトの下ネジ型コーヒーミル+専用コーヒーミルアダプター
揃えるものが少なく、気軽に始められます。
少人数向けコーヒードリリング、アウトドアでのコーヒードリリングに。
・コーヒードリリング上級者の方
大容量ホッパーの上ネジ型コーヒーミル+六角ナット+六角穴ソケットビット
六角ナットのネジ規格・材質の選定、使用可能なソケットビットの選定など、ある程度の知識が必要になります。
多人数用コーヒードリリング、どうしてもクラシックタイプのコーヒーミルを使いたい人はこちらをどうぞ。
下ネジ型コーヒーミルと上ネジ型コーヒーミル(コーヒードリリングに適したタイプ)は、両方を揃えておくのが一番のオススメです。
用途によって使い分けられて、とっても便利ですよ!