ドリルドライバーをパワーで選ぼう!「トルク」と「電圧」とは。

ドリルドライバー選びにおいて重要な項目に、「トルク」と「電圧」があります。

どちらもパワーに関わる数値で、これらが足りないドリルドライバーではコーヒー豆が挽けない時もあります。

せっかく買ったドリルドライバーなのに、コーヒードリリングできない機種だとガッカリですよね。

この記事では、失敗しない「トルク」と「電圧」の選び方を紹介します。

まずは「トルク」、迷ったら「電圧」。

トルクとは、回転運動のパワーを表す量

「トルク」とは「力(ちから)」と「回転中心から力の距離」の外積で表される量で、下記の式で表されます。

N=r×F

N:トルク、r:回転中心からの距離、F:力(ちから)

※ここでの「×」は「かける」ではなく、「外積」を示します。

中学高校で物理を専攻していた方なら、「モーメント」という呼び方のほうが分かり易いでしょうか?

直線運動におけるパワーを示す量が「力(ちから)」なら、回転運動におけるパワーを表す量が「トルク」です。

車のパワーや、ドリルドライバーなど、回転する機械のパワーを示すのに良く使われています。

さて、ドリルドライバーにおける「トルク」とは、ネジやボルトを締め付ける強さのことを差します。

よく使われている単位が、

N・m (ニュートン・メートル)

です。

※「N m」というように「・」を入れない表記もあります。ただしこの表記だと、エネルギーの単位のようにもみえてしまうため、当サイトでは「N・m」と記載します。

N(ニュートン)が力を表す単位で、m(メートル)が距離を表す量ですね。

海外のドリルドライバーでは、lbf・in(重量ポンド・インチ)といった表記の仕方も良くみかけます。

こちらは、lbf(重量ポンド)が力を表す量、in(インチ)が距離を表す量です。

ドリルドライバーの「トルク」を知りたいときは、これらの単位が記載されている場所を確認しましょう。

コーヒードリリングに必要なトルクとは?

使用するコーヒーミルの機種、コーヒーミルの粒度調整具合、挽きたい豆の焙煎度などによって、コーヒーミルを回すために必要なトルクは変化します。

ですので一概には言えませんが、概ね

7 N・m(ニュートン・メートル)

以上あれば、どんな条件であれ、スムーズにコーヒー豆が挽けるという印象です。

このトルクの値は、ドリルドライバーであれば大抵の機種がクリアしています。

一方で、電動ドライバーでこのトルクを出せる機種は非常に少なく、せっかく買ってもコーヒードリリングできないことが多いです。

両者をしっかりと区別して、電動ドライバーではなくドリルドライバーを購入することが、ひとまず安心な選定方法だと言えるでしょう。

(ただし、一部の電動ドライバーではコーヒードリリングができるという報告もあり、全ての電動ドライバーを否定するわけではありません。)

また、7 N・m未満であればコーヒードリリングできないかというと、一概にそうとは言えません。

例えば、IKEAが販売しているFIXA(7.2V)というドリルドライバーは、メーカー記載の最大トルクは5N・mとなっています。

にもかかわらず、十分にコーヒードリリング可能なパワーを有している、優秀なドリルドライバーです。

出展: IKEA公式ホームページ

https://www.ikea.com/jp/ja/catalog/products/50203260/

反対に、日立のペン型ドリルドライバーDB3DL2(3.6V)は、メーカー記載の最大トルクは5N・mとなっていますが、パワーが足りずにコーヒー豆が挽けなかったという報告があがっています。

出展: HIKOKI (旧 日立工機)

https://www.hikoki-powertools.jp/products/diy/driver-drill/fdb3dl2/fdb3dl2.html

理由は定かではありませんが、各メーカーにおける最大トルクの測定基準が、それぞれ異なっているのかもしれません。

(もちろん、HIKOKI製のドリルドライバーは高品質の製品が多く、コーヒードリリングに適しているものも多いです。あくまで上記製品のパワーが足りないだけなのであしからず。)

このように、低トルクのドリルドライバーを検討する際は、メーカー記載のトルクだけでは、なかなか判別できない場合もあります。

迷ったら「電圧」を確認!

では、上記のように低トルクのドリルドライバー選びで迷った際、どのように考えたらよいでしょうか。

そこで確認してほしいのが、「電圧」という項目です。

電圧はモーターを回すパワー

ドリルドライバーは、モーターのパワーをいくつもの歯車を介してネジやボルト、そしてコーヒーミルに伝達します。

そうして伝達された最終的な回転運動のパワーが、「トルク」です。

一方で「電圧」とは、ドリルドライバーのモーターを回すパワーです。

そのため、トルクと違ってコーヒーミルを回すパワーと完全にイコールとはなりませんが、ドリルドライバーのパワーを見る目安にはなります。

例えば、上で紹介したIKEAのFIXA(7.2V)と、日立のペン型ドリルドライバーDB3DL2(3.6V)は共に最大トルクは5.0N・mですが、電圧はFIXAの方が倍となっています。

この2つの回転速度を比較すると、

  • FIXA(7.2V):400rpm
  • DB3DL2(3.6V):200rpm

と、FIXA(7.2V)の方が倍となっています。

電圧が高い分、FIXA(7.2V)は歯車の減速比が低く、DB3DL2(3.6V)は減速比が高くなっているようですね。

ここからわかることは、同じ最大トルクのドリルドライバーでも、電圧が異なる場合、電圧が高い機種の方がモーターのパワーに余裕があるということです。

余裕がある分、コーヒードリリングする際にモーターの過負荷で止まってしまうことが少ないと言えます。

電圧の目安

コーヒードリリングに適したドリルドライバーの電圧は、おおよそ

7.2 V(ボルト)

以上という印象です。

これより電圧が小さく、トルクも7N・mより低い場合は、コーヒードリリングできる可能性は非常に低いと思って良いでしょう。

まとめ

「トルク」と「電圧」からドリルドライバーを選ぶ方法は、ご理解いただけましたか?

本文にもあるように、低トルクのドリルドライバーを選びたい場合、なかなか選定が難しいかと思います。

迷ったらIKEAのドリルドライバーをおすすめします!