細挽き、中挽き、粗挽き・・・
コーヒーは淹れる器具や目指す味わいによって、適した大きさに挽きます。
コーヒーミルを使いはじめた方にとって、ここが最初の壁。
「ペーパードリップしたいんだけど、中細挽きってどのくらいの大きさなんだろう?」
「フレンチプレスは粗挽きがおすすめらしいけど、これで本当に粗挽きなのかな?」
と、はじめのうちは私も随分悩みました。
・・・実は今も悩んでばかりですw
この原因は、2つあります。
1つは、「挽き方の定義」がコーヒー業界でちゃんと決まっていないこと。
紹介元によってその分類はさまざまで、どれか正解かわからないのが現状です。
もう1つは、「粉」の大きさを定量的に表現するのは難しい、ということ。
挽いたコーヒーの粉は、様々な大きさの粉が混ざっています。単純に「○mm以下」の粉を「○挽き」、と表現することはできないのです。
この記事では、まず、1つ目の「挽き方の定義がちゃんと決まっていないこと」について検証してみました。
いろいろな情報源を調査!
情報源1 国内資格の教育資料
国内のコーヒー資格の2巨頭である、コーヒーインストラクター検定とコーヒーマイスター。
これらを運営している「全日本コーヒー商工組合連合会(JCQA)」と「日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)」の教育資料を参考にしました。
情報源2 レギュラーコーヒーメーカーのサイト
国内でシェアNo.1のレギュラーコーヒーメーカーである、UCC上島珈琲。
神戸にコーヒーのアカデミーも開設しているなど、国内のコーヒー教育に欠かせない企業です。こちらのサイトを参考にしました。
情報源3 コーヒーミル製造メーカーのサイト
国内で最も家庭用のコーヒーミルを販売している、HARIO社とKalita社のサイトを参考にしました。コーヒーミルを作っているメーカーだから、誰よりも挽き方に詳しいはずです。
情報源4 有名なコーヒーの書籍
書店でもよく見かけ、よく売れている書籍を参考にしました。
コーヒー「こつ」の科学 著:石脇智広
コーヒーの焙煎機や、電動コーヒーグラインダーの「みるっこ」で有名な富士珈機の石脇氏による執筆。粉砕に関する内容については期待大です。
珈琲の教科書 著:堀口俊英
スペシャルティコーヒーにいち早く取り組み、今も高品質なコーヒーを提供しつづけている堀口コーヒーの堀口氏による執筆。
珈琲完全バイブル 著:丸山健太郎
最高品質のスペシャルティコーヒーを提供し、トップバリスタも数多く排出している丸山珈琲の丸山氏による執筆。
コーヒー学検定上級 金沢大学編 著:圓尾修三、広瀬幸雄
実際に大学である講義。こちらに記載のある挽き方の定義は、Wikipediaや百珈苑にも記載されているので、見たことがある方も多いのではと思います。
挽き方の定義を比較してみた!
集めた情報源をもとに、それぞれの挽き方の定義を比較してみました。
びっくり!国内資格の教育資料には挽き方の定義が載ってない!
まず驚いたのは、国内資格の教育資料には、挽き目の大きさについて定義が記載されていないこと。
参加している団体も多く、企業によって定義が異なるために記載を見送っているのでしょうか?
ここでしっかりと定義を提示して、コーヒーマイスターやコーヒーインストラクターが一般の消費者にわかりやすく伝えてくれるとうれしいのですが…
今後の業界の動きに期待です。
コーヒーミルメーカーの老舗、Kalita社も挽き方の定義は提示していません。
粗さはお好みで決めてくださいというスタンスのようです。
定義はやっぱりバラバラみたい
挽き方の定義は、UCC社のような砂糖の大きさを基準とした定性的な表現と、HARIO社のような定量的な表現があるようです。
定性的な表現4つは、どれもバラバラ。
同じグラニュー糖の大きさが、それぞれ細挽きだったり中細挽きだったり中挽きだったりします。
一方、粗挽きと極細挽きの大きさについては、足並みがそろっているようです。
定量的な表現2つも、随分ちがいます。
「粉」についてどんな大きさを表しているか定義がされていないため、横並びで比較はできないのかもしれませんが、HARIO社の定義に比べてコーヒー学検定上級の定義は小さめなようです。
コーヒー学検定上級の定義での粗挽きは、HARIO社の定義では中細挽きになる程です!
結論
まとめてみると、よくわかりました。
コーヒーの挽き方の定義はやっぱりバラバラです。
これでは、コーヒー初心者の方が壁を感じてしまうのも仕方ないのではないでしょうか?
もっと明確な定義を作って、誰もが悩まずにコーヒーを挽ける環境を作りたい。
改めてそう思いました!
次回は、「粉」の大きさがなぜ表現しにくいか、コーヒーの粉の大きさを定量化するための指標について書きたいと思います。